五木寛之 新老人の思想を読んで さらばアンチエイジング

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こんばんは!

以前、ネットニュースで次のような内容の記事を読みました。
細部が違っているかもしれませんが、おおよそ次のような話です。

“ハイキング帰りのお年寄り数名が電車に乗り込んできました。生憎空いている席はありませんでした。

一人のお年寄りが、座っている若者に席を代わってほしいと言ったところ、

その若者は、
「仕事で疲れているんだ。しかもあんたら遊びだろ?こっちは、あんたらを食わせるために休みなく働いてんだ、だから代わらない。」と。
お年寄りたちは黙ってしまったそうです。”

もしかして口には出さないけど心の中で、
「なんで、俺たちは老人たちのために働かなきゃいけないんだ。」
と思っている若者は意外と多いのではないか、と思います。

81才の作家五木寛之氏が、渾身の思いで出版した「新老人の思想」は、
そんな若者たちへの回答でもあります。



五木寛之の新老人の思想

僕は高校生の時からの五木寛之氏のファンです。
だから約45年ほど、氏の作品に接したことになります。
ほとんどの作品を読んで来たつもりですが、氏は多作家なので読んでいないエッセイなども結構あるかもしれません。

僕のこれからの楽しみの一つは、五木氏の本の全て読み返すことです。
果たして何年かかるだろうか、5年か、10年か、それとも生きている内に終えることが出来るだろうか?

五木氏も高齢です。

1932年(昭和7年)と言いますから、今年で86才になられます。
しかも自分より若い人たちへ言い残したい、書き残したいという強い使命感か信念か、
もう残された時間がないとばかりに新刊も次々と出されています。

僕はファンとしてこれらの本を全て読んで、拡散させていくことも自分の使命ではないか、
なんて勝手思い、時間のある限り、氏の本を読んで感じたことをこのブログに書いていきたいと思っています。

さて、「新老人の思想」は、凄い思想の書です。
あまり物事を明確に言わない五木氏が、ここまではっきりと主張するする文章を始めて読んだ気がします。

この本の220ページ、あとがきにかえての数行に五木氏の考えが凝縮している様に思います。

“老人は、すでにある層ではない。それは他の世代と利害を異にする「階級」である、と私は思うようになった。
「階級」はいやおうなく対立する。他の「階級」におぶさって生きていこうなどという甘い考えは、もう通用しないだろう。私たちは可能な限り自立し、相互扶助をし、他の「階級」の好意に甘えておぶさるべきではない。”

 

五木寛之のさらばアンチエイジング

五木氏の初期の作品に「さらばモスクワ愚連隊」という短編があります。

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氏は若い頃、バイカル号でナホトカに渡り、そこからモスクワに行った方です。
当時は、海外旅行も珍しい時代でしかもソ連時代のモスクワですから、いろいろ不便もあったと思います。「さらばモスクワ愚連隊」はその時の体験がモデルになっています。

僕も仕事でモスクワに十数回行きましたが、なかなか刺激的な街でした。

さて、アンチエイジングという言葉がありますが、僕は以前から胡散臭い言葉だと思っていました。人間は、生物ですから、老いるのが当たり前、そしていずれ死を迎えます。

どうも、老いとその先の死を素直に受け容れない思想に多少違和感を持っていました。
五木氏も同じ考えで、僕は少し嬉しくなりました。

五木氏は次のように書いています。

“芽が出て、若葉から青葉に変わり、やがて紅葉して散っていく。
落地生根落葉帰根(らくちせいこんらくようきこん)。

それは見事な自然のリズムである。アンチエイジングよりも、ナチュラル・エイジングを、そしてナチュラル・エンディングをこそ、私たちは追求すべきではあるまいか。”




五木寛之 人生七十五年

最近よく目にする”人生100年時代”とう言葉。
おいおい、ちょっと待ってくれよ。いつから100年も生きられるようになったんだよ!

しかし、実際この日本には、100才以上の人が5万人以上いらっしゃるそうで、
もちろん過去最多だそうです。

但し、多くの方が寝たきりだそうで、それで人生100年時代なんていうのは変ではありませんか?

僕は、タリーズコーヒーの創始者松田公太氏のように人生50年と考えて生きた方がいいと思うし、60才過ぎたらおまけの人生と考えて好きなことに挑戦することがいいと思っています。

五木氏は、「人生七十五年」とこの本では書かれています。
せいぜい、そんなもんでしょう。

まとめ

もう、老後はのんびり、なんて言ってられる時代ではなくなりました。

老人たちは、自分の食いぶちは自分で稼ぐ、探す、見つけるなどして、
他人に頼ったりできない時代になりました。

もちろん、国の責任で崩壊した年金に頼ることも出来ません。国は、払わないよう、払わないようとしているのです。

もちろんもらえるものはきちんともらいましょう。
それでも、若い者たちの世話になりたくないね。

そんな気概を持ち覚悟をさせてくる本であり、自立した老人として生きるんだ、と思う人が多く出てくれるといいです。

“老人は荒野をめざす”




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